「更新の案内が届いたら、去年より保険料が上がっていた。車の使い方は何も変わっていないのに、どうしてだろう」——自動車保険の更新時期に、多くの方が同じ疑問にぶつかります。
保険料が上がる理由は、契約者の側だけにあるわけではありません。損害保険料率算出機構は2026年6月、自動車保険の参考純率を平均14.4%引き上げる届出を行いました。制度の側が動いているなかで家計の負担を抑えるには、いまの契約のどこを触れるのかを正確に知っておく必要があります。
本記事では、自動車保険の保険料を下げる7つの手段を、効き方・着手のしやすさ・引き換えに失うものの3点で整理します。あわせて、保険料を優先して削ると危険な補償がどこなのかも、公的機関が公表している数字で確認していきますね。
自動車保険の保険料は、契約条件を実際の使い方に合わせ直し、重複している特約を外すことで下げられます。 運転者の範囲・年齢条件・使用目的・年間走行距離は、契約したあとに生活が変わっても自動では直りません。加えて、損害保険料率算出機構は2026年6月23日に自動車保険参考純率を平均14.4%引き上げる届出を行い、同月30日に適合性審査の結果通知を受領しました。2027年1月以降に始期を迎える契約から順次反映される見込みのため、条件の点検はこれまで以上に効きます。一方で、対人賠償と対物賠償の無制限、そして人身傷害は削らない判断が基本です。自賠責保険の補償には死亡3,000万円などの上限があり、これを超える賠償は任意の自動車保険で備えることになります。いまの契約でどこを削れるかを複数社と並べて確認したいときは、自動車保険16商品を掲載する「ほけんの窓口」、ダイレクト型を横並びで扱う「保険見直し本舗」、無料の一括見積りを備える「保険クリニック」が窓口の選択肢です。
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自動車保険の保険料が高いのですが、どうすれば安くなりますか?
自動車保険を安くする手段は、大きく「契約条件を実態に合わせる」「補償の重複を外す」「販売チャネルと払い方を変える」の3系統に分かれます。 どれも新しい商品に乗り換えなくても、いまの契約のまま検討できるものが含まれています。
具体的には次の7つです。上から順に、日常の判断で効くものから、更新のタイミングで手続きが必要なものへ並べています。
- 等級を維持する:小さな損害で保険を使わずに無事故を続けると、割増引率が段階的に有利になります。効果が最も大きい一方、手続きではなく日々の判断で決まる項目です。
- 運転者限定・年齢条件を実態に合わせる:運転する人の範囲と、そのうち最も若い方の年齢に合わせて条件を設定します。子どもが独立して運転しなくなった世帯では、見直し余地が残っていることが多い項目です。
- 使用目的・年間走行距離を修正する:通勤からレジャー中心に変わった、在宅勤務で走行距離が減ったといった変化は、申告しない限り保険料に反映されません。
- 重複している特約を外す:弁護士費用特約や個人賠償責任特約は、火災保険やクレジットカードにも付いていることがあります。同じ補償を二重に持っていないかを確認します。
- 免責金額を上げる:事故時の自己負担額をあらかじめ引き上げると、その分だけ保険料が下がります。
- 車両保険を見直す:一般型からエコノミー型へ、あるいは外すという段階があります。削減効果は7つのなかで大きい反面、失うものも大きい項目です。
- 販売チャネル・払込方法を変える:代理店型からダイレクト型への乗り換え、月払いから年払いへの変更、インターネット割引の適用が該当します。
自分の契約でどこを削れるかを確認する方法
- いま加入している保険会社・代理店:保険証券とマイページで、現在の年齢条件・運転者限定・使用目的・走行距離区分・特約の一覧を確認できます。条件変更の手続きが最も早く、契約内容の正確な情報を得られる一方、他社の保険料と比べることはできません。
- 複数の保険会社を扱う保険ショップ:ほけんの窓口は自動車保険16商品を11社分掲載し、代理店型とダイレクト型の両方を同じ場で比べられます。保険見直し本舗はSBI損保・おとなの自動車保険・ソニー損保・三井ダイレクト損保・楽天損保などダイレクト型を中心に取り扱い、店舗・訪問・電話・オンラインの4チャネルに対応。保険クリニックは自動車保険の無料一括見積りを備え、最大6社の見積もりを並べて比較できます。
- 中立の判断基準:日本損害保険協会は、特定の商品を勧めない立場から、自動車保険の補償の種類と加入時のポイントを整理した資料を公開しています。事業者の提案を受ける前に、削ってよい項目とそうでない項目の物差しを持っておきたいときに役立ちます。
各社の公式発表に基づく2026年8月時点の情報です。順位づけではなく、確認できる内容ごとに整理しています。取扱商品は変更される場合があるため、利用前に各公式サイトでご確認ください。
そもそも、なぜ自動車保険の保険料は上がっているのですか?
保険料が上がっている最大の理由は、事故1件あたりに支払われる保険金が上昇し続けていることです。 事故そのものは減っているのに、1件を直すためのコストが増え、収支が合わなくなっています。
損害保険料率算出機構が公表した資料によると、事故率は新型コロナ以降の交通量回復に伴っていったん増えたあと、衝突被害軽減ブレーキなどの先進安全技術の普及を背景に、足元では緩やかに減少しています。ところが対物賠償責任保険と車両保険の1件あたり支払保険金は年々上昇し、事故率の減少を上回りました。
金額で見ると、対物賠償責任保険の支払い1件あたりの修理費は、2022年度の33.6万円から2023年度は35.8万円、2024年度は38.6万円へと積み上がっています。費目別の内訳は、部品費が15.5万円から17.4万円、工賃が6.4万円から7.3万円、塗装費が5.3万円から6.0万円、代車料などの間接損害が6.3万円から7.9万円です。2年間で1件あたり5万円分、修理にかかるお金が増えたことになります。
この保険金単価の上昇について、要因ごとの影響度合い(寄与率)も示されています。工賃単価の上昇が40%程度で最も大きく、物価上昇と高性能部品の普及等が35%程度、代車料などその他が25%程度です。部品そのものの値上がりだけでなく、センサーを積んだ部品の取替や調整に手間がかかるようになり、その工賃が最大の押し上げ要因になっているという構図です。
制度の側では何が決まったのですか
保険料の前提になる参考純率について、2026年に大きな改定の届出がありました。次の制度動向は、当サイトが独自に収集した保険・共済分野の規制動向データベースから、契約者の負担に直接関わるものを整理したものです。
【業界の現状と制度動向:自動車保険の参考純率は平均14.4%の引上げが届け出られ、2027年1月以降に始期を迎える契約から順次反映される見込みである】
争点:先進安全技術の普及で事故率は下がっているのに、契約者が支払う保険料は下がらない。事故が減っているという実感と、保険料の水準が食い違う理由をどこに求めるかが論点になった。参考純率は保険会社が自社の保険料率を算出する際の基礎となる数値で、その水準の妥当性は毎年度検証される。
判断:損害保険料率算出機構は、損害保険料率算出団体に関する法律第9条第1項後段に基づき、自動車保険参考純率の変更に関する届出を2026年6月23日付で金融庁長官に行い、同年6月30日に適合性審査の結果通知を受領した。届出の内容は、2027年1月以降に保険始期を有する契約を想定した参考純率水準の平均14.4%引上げと、運転者の運行特性を保険料に反映する料率区分の新設である。契約例別の改定率は、自家用普通乗用車・自家用小型乗用車で対人賠償・対物賠償・人身傷害・車両保険のセット契約が+17.2%、自家用軽四輪乗用車が+17.5%。ここから車両保険を除いたセット契約では+16.4%と+15.8%だった。新設される運行特性区分は、ドライブレコーダー等で測定した急加速・急減速の頻度に基づく1から3の3区分で、区分間の較差は10%である。なお参考純率は使用義務のない参考数値であり、各保険会社が実際に販売する保険料の改定内容は、自社の収支状況や独自に決定する付加保険料率の影響を受けるため、この改定率とは異なる場合がある。
読者への教訓:更新の案内が届いてから慌てるより、いまのうちに契約条件を点検しておくほうが選択肢が広く残ります。前回の2024年6月24日届出による改定が平均5.7%の引上げだったことを踏まえると、今回の14.4%は水準が違います。とくに車両保険を含むセット契約の改定率が高く出ているので、車両保険を続けるかどうかの判断は早めに考えておくと安心ですよ。また、急加速・急減速の少なさが保険料に反映される仕組みが新しく入ります。安全運転を意識することが、これからは割引の材料にもなると考えておいてください。
出典:自動車保険参考純率届出のご案内(損害保険料率算出機構・2026年6月23日金融庁長官への届出/2026年6月30日適合性審査結果通知受領)
参考純率の仕組みそのものは損害保険料率算出機構の自動車保険参考純率のページで公開されています。用途・車種、型式、年齢条件、過去の事故歴といったリスクの差に応じて区分が設けられている点も、そこで確認できます。直前の改定内容は2024年6月の参考純率改定のご案内にまとまっており、こちらは平均5.7%の引上げでした。
契約条件を見直すと、保険料はどのくらい下がりますか?
契約条件のうち保険料に直結するのは、運転者の年齢条件、運転者限定、使用目的、年間走行距離の4つです。 いずれも補償の範囲を狭めることで割引される仕組みのため、実態より広い設定のまま放置していると、使わない補償に保険料を払い続けることになります。
運転者年齢条件特約
運転する方の年齢を限定することで保険料が割引される特約です。日本損害保険協会の解説によると、年齢を問わず補償、21歳以上補償、26歳以上補償など、年齢条件の区分は保険会社によって異なります。
ここで重要なのは、運転される方のうち最も若い方の年齢によって条件を決める必要があるという点です。26歳以上補償で契約している車を20歳の家族が運転して事故を起こした場合、補償の対象外になります。子どもが免許を取った直後に条件を広げたまま、独立後もそのままという契約は珍しくありません。
また、同じ年齢条件の区分でも、記名被保険者の年齢によって保険料が変わる場合があります。たとえば35歳以上を補償する区分で契約した場合、記名被保険者の年齢が30歳未満、30歳から39歳、40歳から49歳、50歳から59歳、60歳から69歳、70歳以上で保険料が異なります。この区分は保険料を算出するためのもので、これによって補償内容が変わることはありません。
運転者限定特約
運転する方の範囲を限定することで割引される特約です。補償される範囲は次のとおりです。
- 運転者本人限定特約:記名被保険者のみが補償されます。配偶者、同居の親族、別居の未婚の子、友人・知人は対象外です。
- 運転者本人・配偶者限定特約:記名被保険者と配偶者が補償されます。同居の親族、別居の未婚の子、友人・知人は対象外です。
ここでいう「同居」とは同一の家屋に居住していることを指し、同一生計や扶養関係の有無は問いません。二世帯住宅で生計が別でも、同一の家屋であれば同居として扱われます。範囲の判定は生活実態と一致させてください。
使用目的と年間走行距離
通勤・通学使用、業務使用、日常・レジャー使用といった使用目的の区分と、年間走行距離の区分も保険料に反映されます。在宅勤務が定着して通勤に使わなくなった、子どもの送迎が終わって走行距離が減ったといった変化は、契約者から申告しない限り保険料には反映されません。
ただし、実態と異なる申告をすると告知義務・通知義務の問題になります。保険金の支払いに影響する可能性があるため、実際の使い方に合わせて正しく修正することが前提です。
特約の種類と補償範囲の詳細は日本損害保険協会の解説(任意の自動車保険の特約)で確認できます。
等級を上げるのが一番の割引になりますか?
割引率の絶対値で見れば、等級は自動車保険で最も大きな要素です。 契約条件の変更が数%から十数%の調整であるのに対し、等級は最上位で6割を超える割引になります。
自動車保険では、事故の内容や回数に応じて契約者ごとに等級が設定され、この等級に応じて保険料が割増引されます。初めて契約した場合は6等級に位置づけられ、1年間事故がないと1等級上がります。逆に事故を起こして保険金の支払いを受けると、1事故につき3等級下がります。
さらに、有事故の契約者と無事故の契約者で保険料負担を公平にするため、有事故契約者には3年間、低い割引率が適用されます。 等級が戻るまでの年数だけでなく、その間の割引率も下がるという二重の影響がある点が見落とされがちです。
| 等級 | 無事故の割増引率 | 有事故の割増引率 | この等級に該当する状況 |
|---|---|---|---|
| 1等級 | +108%(割増) | 区分なし | 事故を重ねて最下位まで下がった状態 |
| 3等級 | +38%(割増) | 区分なし | 6等級から3等級ダウン事故を起こした直後 |
| 6等級 | −13% | 区分なし | 初めて自動車保険を契約したときの等級 |
| 10等級 | −46% | −19% | 6等級から4年間無事故を続けた状態 |
| 15等級 | −53% | −28% | 6等級から9年間無事故を続けた状態 |
| 20等級 | −63% | −51% | 最上位。無事故と有事故で12ポイントの差がつく |
出典:日本損害保険協会「損害保険Q&A」自動車保険の等級に掲載された等級別割増引率例をもとに、編集部が代表的な等級を抜粋。継続契約の1等級から6等級には無事故契約者が含まれないため、無事故・有事故の区分けはありません。薄い青の行は、無事故と有事故で割引率の差が特に開く帯を示しています。
表から読み取れるのは、10等級で27ポイント、15等級で25ポイントというように、中位の等級ほど無事故と有事故の割引率の差が大きく開くことです。同じ等級にいても、直近3年間に事故があったかどうかで保険料はここまで変わります。数万円の修理で保険を使うと、翌年以降の負担がその金額を上回るケースが出てくるのは、この構造によるものです。
なお、盗難や台風、洪水、高潮などで車両保険の保険金を受け取った場合は、1事故につき1等級下がる扱いになり、低い割引率が適用されるのは1年間です。ケガで人身傷害保険の保険金を受け取った場合は、事故がなかったものとして1等級上がるノーカウント事故になることもあります。取扱いは保険会社によって異なるため、請求前に確認してください。
もうひとつ注意したいのが満期日の管理です。満期日から一定の期間を過ぎても継続手続きを行わないと新規契約として扱われ、それまで積み上げた等級による割引を失います。乗り換えを検討している場合ほど、この期限を意識しておく必要があります。
車両保険を外すと保険料はどれくらい下がりますか?
車両保険は保険料に占める割合が大きく、外したときの下がり幅も7つの手段のなかで大きい部類に入ります。 ただし下がる金額は車種・年式・補償の型・等級によって変わるため、一律の目安を当てはめることはできません。
参考純率の改定率を見ると、この差は数字にも表れています。自家用普通乗用車・自家用小型乗用車で車両保険を含むセット契約の改定率が+17.2%だったのに対し、車両保険を除いたセット契約は+16.4%でした。軽四輪でも+17.5%と+15.8%で、車両保険を含むほうが改定の影響を強く受けています。
年式が古くなると外したときの差額も小さくなります
自家用普通乗用車や自家用小型乗用車の車両保険には、車両価額協定保険特約が自動的に付帯されているのが一般的です。これは契約時に契約者と保険会社の間で保険価額を協定し、契約時の市場販売価格相当額で設定した保険価額と保険金額を、保険期間中は常に一致させる仕組みです。
市場販売価格相当額とは、同一車種・同年式で同じ損耗度の自動車を購入する場合の価格を指します。年式が古くなるほどこの金額は下がり、それに連動して車両保険の保険料も下がります。つまり、外したときの節約額そのものが、車が古くなるほど小さくなっていきます。 外す判断は早いほど効果が大きく、遅らせるほど得られるものが減る構造です。
外す前に、間に段階があります
いきなり外すのではなく、補償範囲を狭める選択肢を先に検討します。
- 一般型からエコノミー型へ:単独事故やあて逃げを補償の対象から外し、車対車の事故などに範囲を絞ります。エコノミー特約をセットしている場合、あて逃げによる損害には保険金が支払われません。
- 免責金額を上げる:補償の範囲は保ったまま、自己負担額を引き上げます。
- 車両保険そのものを外す:修理費と買い替え費用のすべてを自分で負担する前提に切り替えます。
3段階目に進むかどうかの判断材料になるのは、車のローン残高と手元の貯蓄です。ローンが残っている状態で全損すると、車がないのにローンだけが残ります。また、いま同じ車を買い直せるだけの貯蓄があるかどうかが、実質的な線引きになります。
車両保険の保険金額の設定方法は日本損害保険協会の解説(車両保険の保険金額の設定方法)で確認できます。
免責金額を上げるとどうなりますか?
免責金額を上げると保険料は下がり、事故のときに自己負担する金額が増えます。 免責金額を設定していない場合に支払われる保険金から、免責金額を差し引いた金額が保険金として支払われる仕組みです。
ここで押さえておきたい点が3つあります。
- 全損のときは差し引かれません:車両保険では、全損(契約の自動車全体の滅失、修理費が保険価額を上回る場合など)にあたるときは、免責金額を差し引かずに保険金が支払われます。免責金額を上げても、最も大きな損害のときには影響しないという意味です。
- 対物賠償責任保険にも設定できます:対物賠償責任保険で免責金額を設定した場合、差し引かれた金額は加害者自らが相手方に賠償する必要があります。相手のある賠償で自己負担が発生する点は、車両保険の免責金額とは性質が異なります。
- 1回目と2回目で金額が変わる方式があります:契約時に「5万円から10万円」のように設定し、1回目の事故より2回目以降の免責金額が増える増額方式を採用している商品があります。
免責金額の考え方は、前のセクションで見た等級と組み合わせて判断してください。数万円の傷や凹みで保険を使うと翌年から3等級下がり、低い割引率が3年間続きます。免責金額をあらかじめ高めに設定しておけば、その範囲の損害は自己負担と割り切ることになり、結果として等級を守ることにつながります。
免責金額を設定した場合の保険金の支払われ方は日本損害保険協会の解説(免責金額を設定している場合の保険金の支払い)に記載があります。
重複している特約はありませんか?
特約の重複は、補償を減らさずに保険料だけを下げられる数少ない項目です。 同じ範囲を二重にカバーしていても、受け取れる保険金が二倍になるわけではありません。
自動車保険の特約には、補償の範囲を拡大する特約と、補償の範囲を限定して保険料を安くする特約があります。また、自動的に付帯される自動付帯特約と、任意で付帯する任意付帯特約に分かれます。重複が起きやすいのは、次のような組み合わせです。
- 個人賠償責任特約:日常生活で他人にケガをさせた場合や他人のモノを壊した場合の損害賠償責任を補償するもので、契約者本人だけでなく同居の家族も補償対象になります。火災保険や傷害保険にも付帯できるため、世帯で複数の契約を持っていると重複しやすい特約です。
- 弁護士費用特約:家族の他の自動車保険や火災保険に付いていることがあります。補償の対象範囲が契約ごとに異なるため、外す前に残す側の範囲を確認してください。
- ロードサービス:自動車保険に付帯するものと、自動車メーカーの保証、JAFなどの会員サービス、クレジットカードの付帯サービスが重なることがあります。
- 他車運転危険補償特約:記名被保険者やその配偶者、同居または別居の未婚の子が他人の自動車を運転中の事故を補償する特約で、自動付帯されているのが一般的です。他人の車を運転する機会があるからと別途契約する必要はありません。
ただし、外す判断の前に、残す側の契約が本当に同じ範囲をカバーしているかを確認してください。すべての保険会社で同じ内容を取り扱っているわけではなく、名称が同じでも補償の対象や範囲が異なることがあります。重複だと思って外した結果、どちらにも該当しない範囲が生まれると、削った意味がなくなります。
代理店型からダイレクト型に変えると、どのくらい安くなりますか?
ダイレクト型は代理店を介さない分のコストが保険料に反映され、インターネット経由の申込みに割引が設定されているのが一般的です。 日本損害保険協会も、加入方法として代理店を介して加入する方法とインターネットから加入する方法を挙げ、保険商品の選択にあたってきめ細やかな提案やアドバイスを受けたい方には前者が、自分で商品を選択する代わりに保険料を割安に抑えたい方には後者が向くと整理しています。
実際の割引の設定は各社が公表しています。保険見直し本舗が公開する自動車保険の取扱商品一覧には、三井ダイレクト損保がインターネット契約割引と証券不発行割引を合わせて最大10,500円、楽天損保がネットからの申込みで保険料25%オフ、おとなの自動車保険がインターネットからの申込みで新規13,000円・継続10,000円の割引という各社の説明が掲載されています(分割払の場合の割引額は各社の記載により異なります)。
乗り換えても等級は引き継げます。ただし前のセクションで触れたとおり、満期日から一定の期間を過ぎると新規契約扱いになるため、満期の1か月から2か月前には見積もりを取り始めてください。
一方で、失うものもあります。補償設計を自分で判断する必要があり、事故のときに顔の見える担当者がいません。契約内容の相談先を持っておきたい場合は、代理店型のまま条件だけを見直す選択肢も残ります。ダイレクト型への乗り換えは「安くする手段」であると同時に「相談機能を手放す判断」でもあるという前提で比べてください。
ダイレクト型の商品ごとの違いは、ダイレクト型自動車保険を数字で比較した記事で個別に扱っています。
安くする手段を並べると、どれから手をつけるべきですか?
効果が大きく、引き換えに失うものが小さい順に並べると、等級の維持・運転者条件の適正化・重複特約の解約が先に来ます。 車両保険や免責金額の調整は効果が大きい一方で、事故のときの自己負担が確実に増えます。
| 手段 | 保険料への効き方 | 着手のしやすさ | 引き換えに失うもの |
|---|---|---|---|
| 等級を維持する | 最上位まで上がると割引率は最大になる | 手続きは不要。請求時の判断で決まる | 少額の修理費を自己負担する |
| 運転者限定・年齢条件を実態に合わせる | 範囲を狭めるほど割引される | 契約期間の途中でも変更を申し出られる | 限定から外れた人の事故は補償されない |
| 使用目的・年間走行距離を修正する | 実態に合った区分に直すと下がる場合がある | 同上。申告した内容が反映される | なし。ただし実態と異なる申告は告知・通知義務の問題になる |
| 重複している特約を外す | 特約保険料の分だけ下がる | 世帯の他の契約を確認する手間がかかる | なし。ただし重複の判断を誤ると補償の空白が生まれる |
| 免責金額を上げる | 自己負担額を上げるほど下がる | 更新のタイミングで設定する | 事故時に免責金額まで自己負担する |
| 車両保険を見直す | 削減幅は大きい。年式が古いほど効果は縮む | 更新のタイミングで段階的に判断する | 自分の車の修理費・買い替え費用を自己負担する |
| 販売チャネル・払込方法を変える | ネット割引や年払いの分だけ下がる | 満期の1か月から2か月前に見積もりが必要 | 対面で提案を受ける機会。年払いはまとまった支出が発生する |
薄い青の行は、補償の範囲を実質的に狭めずに保険料を下げられる手段です。下がり幅は契約条件・車種・等級によって異なるため、実際の金額は契約先または相談窓口でご確認ください。
順番としては、薄い青の3つを先に片づけてから、免責金額と車両保険の判断に進んでください。この順序にすると、補償を削らずに済む余地を使い切ったうえで、削るかどうかの判断に入れます。
補償を削りすぎると、何が起こりますか?
削ってはいけないのは、対人賠償責任保険と対物賠償責任保険の無制限、そして人身傷害保険です。 この3つは、支払う金額が自分では決められない損害に備えるためのものだからです。
自賠責保険は人身事故の被害者救済を目的とした制度で、保険金が支払われるのは事故によって相手を死傷させた場合に限られます。補償額にも上限があり、死亡は3,000万円、後遺障害は4,000万円、傷害は120万円です。物損事故に関する賠償責任、自分自身の傷害、自分の車の損害は自賠責保険では補償されません。
そして、実際の賠償額が自賠責保険の上限を大きく超えた事例が公表されています。
【依頼前の確認事項:人身事故の認定総損害額は5億円を超えた判決があり、自賠責保険の上限3,000万円との差はすべて加害者の負担になる】
争点:保険料を下げるために賠償責任保険の保険金額を有限に設定してよいか。無制限という設定が過剰な備えなのか、それとも実際の賠償額の分布から見て必要な水準なのかが問題になる。あわせて、対物賠償責任保険に免責金額を設定した場合の自己負担の性質も論点になる。
判断:日本損害保険協会が公表する損害保険Q&Aには、損害保険料率算出機構「2023年度(2022年度統計)自動車保険の概況」を出典とする高額判決例が掲載されている。人身事故では、2009年の事故について横浜地方裁判所が2011年に認定総損害額52,853万円とした事例(被害者は41歳男性・眼科開業医・死亡)を筆頭に、札幌地方裁判所2016年判決の45,381万円、横浜地方裁判所2017年判決の45,375万円、札幌地方裁判所2021年判決の45,063万円が並ぶ。物件事故では、1985年の事故について神戸地方裁判所が1994年に認定総損害額26,135万円とした事例(被害物件は積荷)、東京地方裁判所1996年判決の13,450万円(パチンコ店)、福岡地方裁判所1980年判決の12,036万円(電車・線路・家屋)が示されている。なお同協会は、保険金額無制限とは保険会社が保険金を無制限に支払うという意味ではなく、被保険者が負う法律上の損害賠償責任の負担額の範囲内で支払うことだと説明している。また対物賠償責任保険に免責金額を設定した場合、差し引かれた金額は加害者自らが相手方に賠償する必要がある。
読者への教訓:対人賠償と対物賠償を無制限にしても、有限にした場合との保険料差は限定的です。一方で、上限を設けたときに超過分を負担するのは契約者自身になります。保険料を下げる作業では、この2つには手をつけないでください。人身傷害保険も、相手方との示談を待たずに自分と同乗者の治療費を受け取れる補償なので、削る優先順位は最後です。削る対象は、あくまで自分の車の損害を補う車両保険と、重複している特約に絞って考えてみてくださいね。
出典:損害保険Q&A 問6 任意の自動車保険は、どのような保険ですか。(日本損害保険協会/出典表記は損害保険料率算出機構「2023年度(2022年度統計)自動車保険の概況」147ページ・148ページ)
削りすぎのリスクは、賠償責任の分野だけではありません。年齢条件や運転者限定を実態より狭く設定すると、その範囲から外れた人が運転して事故を起こしたときに補償されません。保険料を下げるために条件を絞ること自体は正しい手順ですが、絞る幅は生活実態に一致させてください。
保険金額無制限の意味については日本損害保険協会の解説(保険金額無制限とは)で詳しく確認できます。
契約を触る前に、どこで確認すればいいですか?
削れる条件と削ってはいけない補償の線引きは、複数の保険会社を扱う窓口で契約内容を見てもらうのが確実です。 年齢条件・運転者限定・特約の重複は保険証券の記載だけでは判断しにくく、世帯の他の契約と突き合わせる作業が必要になります。
- ほけんの窓口:自動車保険16商品を11社分掲載し、代理店型とダイレクト型を同じ場で比べられます。来店型の最大手で、オンライン相談にも対応しています。
- 保険見直し本舗:ダイレクト型を中心に自動車保険を取り扱い、店舗・訪問・電話・オンラインの4チャネルに対応。1人の担当者が継続してサポートする体制で、契約変更のあとも同じ担当者に相談できます。
- 保険クリニック:自動車保険の無料一括見積りを備え、最大6社の見積もりを並べて比較できます。そのままネットで申し込む導線もあり、店舗相談とオンライン相談の両方に対応しています。
車の保険料を下げても家計の固定費が重いと感じる場合
自動車保険で削れる部分を削り切っても負担感が残るときは、保険全体の固定費に視野を広げる方法があります。ほけんNaviせつやくん(株式会社フィナンシャル・エージェンシー運営)は、年齢と性別の入力だけで生命保険の節約額の目安が出る保険料節約シミュレーションを公開しており、そのまま全国のファイナンシャルプランナー(FP)による無料の訪問相談・オンライン相談へ進めます。自動車保険は主力領域ではありませんが、家計全体の固定費を起点に見直したい場合の入口になります。
相談先そのものを比べたい場合は自動車保険の見直しを相談できる窓口8社の比較で、乗り換え先の商品を選びたい場合はダイレクト型自動車保険の比較で扱っています。火災保険側の見直しは火災保険の見直しの相談先と火災保険の商品比較を、生命保険を含めた節約余地の試算は保険料の節約シミュレーションができるサービスの比較をあわせてご覧ください。
よくある質問(FAQ)
Q1:自動車保険の保険料が高いのですが、どうすれば安くなりますか?
契約条件を実際の使い方に合わせ直し、重複している特約を外すのが基本です。運転者限定・年齢条件・使用目的・年間走行距離の4項目は、生活が変わっても自動では直りません。そのうえで免責金額の引き上げ、車両保険の見直し、ダイレクト型への乗り換えや年払いへの変更を検討します。
Q2:自動車保険が高くなっているのはなぜですか?
事故1件あたりに支払われる保険金が上昇しているためです。先進安全技術の普及で事故率は緩やかに減っている一方、対物賠償責任保険と車両保険の保険金単価が上がり続けています。損害保険料率算出機構は2026年6月23日に参考純率を平均14.4%引き上げる届出を行い、2027年1月以降に始期を迎える契約から順次反映される見込みです。
Q3:自動車保険を安くするコツは何ですか?
補償を削らずに済む手段から先に着手することです。等級を維持する、運転者限定と年齢条件を実態に合わせる、重複している特約を外すの3つは、補償の範囲を実質的に狭めずに保険料を下げられます。免責金額の引き上げと車両保険の見直しは、事故時の自己負担が確実に増えるため、その次に検討します。
Q4:車両保険を外すと保険料はどれくらい下がりますか?
下がり幅は車種・年式・補償の型・等級によって変わるため、一律の目安はありません。車両保険には契約時の市場販売価格相当額で保険金額を設定する車両価額協定保険特約が付帯されているのが一般的で、年式が古くなるほど保険金額とともに保険料も下がり、外したときの節約額も小さくなります。
Q5:免責金額を上げるとどうなりますか?
保険料は下がり、事故のときの自己負担が増えます。免責金額を設定していない場合に支払われる保険金から、免責金額を差し引いた金額が支払われます。ただし車両保険では全損にあたるとき、免責金額は差し引かれません。対物賠償責任保険に設定した場合、差し引かれた金額は加害者自らが相手方に賠償する必要があります。
Q6:自動車保険でいらない補償はどれですか?
一律に不要な補償はありませんが、外す候補になりやすいのは重複している特約です。個人賠償責任特約は火災保険や傷害保険にも付帯でき、弁護士費用特約は家族の他の契約に付いていることがあります。他車運転危険補償特約は自動付帯されているのが一般的なので、別途契約する必要はありません。
Q7:自動車保険が安くなる年齢はいくつからですか?
年齢条件の区分は保険会社によって異なり、年齢を問わず補償、21歳以上補償、26歳以上補償などが設けられています。条件は運転される方のうち最も若い方の年齢に合わせて決める必要があります。同じ区分でも記名被保険者の年齢が30歳未満、30歳から39歳、40歳から49歳、50歳から59歳、60歳から69歳、70歳以上で保険料が異なる場合があります。
Q8:20歳や子どもの自動車保険を安くする方法はありますか?
若い運転者がいる世帯では、年齢条件を広げた契約を1台に集約する方法があります。子どもが運転する車だけ年齢条件を広げ、他の車は実態に合わせて絞ることで、世帯全体の保険料を抑えられます。子どもが独立して運転しなくなった時点で条件を戻すことも忘れないでください。
Q9:代理店型からダイレクト型に変えると、どのくらい安くなりますか?
各社がインターネット経由の申込みに割引を設定しており、割引額は保険会社によって異なります。乗り換えても等級は引き継げますが、満期日から一定の期間を過ぎると新規契約扱いになり、それまでの割引を失います。満期の1か月から2か月前には見積もりを取り始めてください。
Q10:保険料を下げるために、削ってはいけない補償はありますか?
対人賠償責任保険と対物賠償責任保険の無制限、そして人身傷害保険です。自賠責保険の補償額には死亡3,000万円、後遺障害4,000万円、傷害120万円という上限があり、これを超える賠償は任意の自動車保険で備えることになります。人身事故では認定総損害額が5億円を超えた判決も公表されています。
まとめ
自動車保険の保険料は、契約条件を実際の使い方に合わせ直し、重複している特約を外すことで下げられます。運転者限定・年齢条件・使用目的・年間走行距離は、契約したあとに生活が変わっても自動では直らないため、いま一度証券を開いて実態と照らし合わせてみてください。等級は割引率の絶対値が最も大きい要素で、数万円の修理で保険を使うと3等級下がり、低い割引率が3年間続きます。
制度の側でも動きがあります。損害保険料率算出機構は2026年6月23日に自動車保険参考純率を平均14.4%引き上げる届出を行い、同月30日に適合性審査の結果通知を受領しました。2027年1月以降に始期を迎える契約から順次反映される見込みで、車両保険を含むセット契約ほど改定率が高く出ています。あわせて、急加速・急減速の少なさを保険料に反映する運行特性区分も新設されます。
ただし、削ってよいのは自分の車の損害を補う車両保険と重複した特約であって、賠償責任の備えではありません。対人賠償と対物賠償の無制限、人身傷害保険は残す判断が基本です。契約内容を複数社と並べて確認したいなら自動車保険16商品を掲載するほけんの窓口、ダイレクト型を中心に4チャネルで相談したいなら保険見直し本舗、最大6社の一括見積りから始めたいなら保険クリニックが入口になります。家計全体の固定費まで含めて見直したい場合はほけんNaviせつやくん(株式会社フィナンシャル・エージェンシー運営)の保険料節約シミュレーションも使えます。保険料を下げる作業は、補償を減らす作業ではなく、使っていない補償を返す作業だと考えると判断を誤りにくくなりますよ。
更新履歴
- 2026年8月17日:初版公開

