「更新の案内を開いたら、去年より保険料が上がっていた。家も家族も何も変わっていないのに、どうして毎回上がるのだろう」——火災保険の更新時期に、多くの方が同じ疑問にぶつかります。
保険料が上がる理由は、契約者の側だけにあるわけではありません。損害保険料率算出機構は2023年6月、火災保険の参考純率を全国平均で13.0%引き上げる届出を行い、あわせて水災に関する料率を市区町村ごとに5区分へ細分化しました。制度の側が動いているなかで家計の負担を抑えるには、いまの契約のどこを触れるのかを正確に知っておく必要があります。
本記事では、火災保険の保険料を下げる7つの手段を、効き方・着手のしやすさ・引き換えに失うものの3点で整理します。あわせて、保険料を優先して外すと危険な補償がどこなのかも、公的機関が公表している数字と条文で確認していきますね。
火災保険の保険料は、使っていない割引を申請し、建物と家財の保険金額を実態に合わせ直すことで下げられます。 建物の評価額も家財の量も、契約したあとに変わっても自動では直りません。保険法第10条は、契約後に保険価額が著しく減少したときに、保険契約者が将来に向かって保険金額と保険料の減額を請求できると定めています。加えて、損害保険料率算出機構は2019年10月の改定で築5年未満の建物に平均28%の割引を導入し、2023年6月の改定では水災料率を市区町村別の5区分に細分化しました。自分の住所がどの水災等地にあたるかは公式の検索システムで確認できます。一方で、地震保険は保険料の負担が大きいからという理由だけで外す判断はおすすめしません。地震を原因とする火災の損害は火災保険では補償されないためです。いまの契約でどこを下げられるかを複数社と並べて確認したいときは、火災保険と地震保険を7社8商品掲載する「ほけんの窓口」、ソニー損保や楽天損保などを取り扱う「保険見直し本舗」、3社のプランを一括見積りで比べられる「保険クリニック」が窓口の選択肢です。
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火災保険の保険料が高いのですが、安くする方法はありますか?
火災保険を安くする手段は、大きく「割引と保険金額を適正化する」「補償の範囲と自己負担を調整する」「契約の仕方を変える」の3系統に分かれます。 どれも新しい商品に乗り換えなくても、いまの契約のまま検討できるものが含まれています。
具体的には次の7つです。上から順に、引き換えに失うものが小さいものから、補償や手元資金と引き換えになるものへ並べています。
- 使える割引の適用漏れを確認する:築年数や住宅の耐震性能に応じた割引があります。該当していても確認資料を出していなければ適用されません。失うものがない数少ない手段です。
- 建物・家財の保険金額を適正額に直す:保険料は保険金額に比例します。実態より高い金額のまま契約していると、使わない補償に保険料を払い続けることになります。
- 重複している補償・特約を外す:個人賠償責任特約は自動車保険や傷害保険にも付けられます。同じ補償を二重に持っていないかを確認します。
- 免責金額を上げる:事故時の自己負担額をあらかじめ引き上げると、その分だけ保険料が下がります。
- 補償範囲を絞る:水災、破損・汚損など、自宅のリスクに照らして必要性の低い補償を外します。削減効果は大きい反面、失うものも大きい手段です。
- 契約期間を最長5年にして一括払いにする:1年契約を毎年更新するより、長期契約を一括で払うほうが総額を抑えられます。
- 同一条件で複数社の見積もりをそろえる:会社ごとに独自の割引や付加保険料率の設定が異なるため、同じ補償内容でも保険料に差が出ます。
自分の契約でどこを下げられるかを確認する方法
- いま加入している保険会社・代理店:保険証券とマイページで、現在の建物・家財の保険金額、補償範囲、免責金額、契約期間、適用中の割引を確認できます。条件変更の手続きが最も早く、契約内容の正確な情報を得られる一方、他社の保険料と比べることはできません。
- 複数の保険会社を扱う保険ショップ:ほけんの窓口は火災保険・地震保険の商品一覧に7社8商品を掲載し、補償内容を横並びで比べられます。保険見直し本舗はソニー損保や楽天損保などの火災保険を取り扱い、店舗・訪問・電話・オンラインの4チャネルに対応。保険クリニックは火災保険の比較・一括見積りサイトを運営し、複数社のプランを同じ画面で比較できます。
- 中立の判断基準:日本損害保険協会は、特定の商品を勧めない立場から、火災保険と地震保険の仕組みを解説した資料を公開しています。事業者の提案を受ける前に、外してよい補償とそうでない補償の物差しを持っておきたいときに役立ちます。
各社の公式発表に基づく2026年8月時点の情報です。順位づけではなく、確認できる内容ごとに整理しています。取扱商品は変更される場合があるため、利用前に各公式サイトでご確認ください。
そもそも、なぜ火災保険の保険料は上がっているのですか?
保険料が上がり続けている直接の理由は、保険料の基礎になる参考純率が短い間隔で引き上げられてきたことです。 自然災害による支払保険金の増加と、住宅の老朽化・修理費の高騰が背景にあります。
参考純率とは、損害保険料率算出機構が算出する純保険料率の参考数値です。保険会社は自社の保険料率を算出する際の基礎としてこれを使うことができ、事業経費などに充てる付加保険料率は各社が独自に決めます。参考純率は使用義務のない参考数値のため、実際の商品の改定率とは一致しませんが、業界全体の水準がどちらへ動いているかを示す指標になります。
直近4回の改定を並べると、上昇のペースがはっきり見えてきます。
- 2018年5月21日届出:住宅総合保険の参考純率を全国平均で5.5%引上げ
- 2019年10月7日届出:全国平均で4.9%引上げ。あわせて築年数が浅い住宅を対象とする割引を導入
- 2021年5月21日届出:全国平均で10.9%引上げ。参考純率を適用できる保険期間の上限を最長10年から最長5年へ短縮
- 2023年6月21日届出:全国平均で13.0%引上げ。水災に関する料率を市区町村別の5区分へ細分化
引上げ幅は4.9%から13.0%へと拡大し、改定の間隔も詰まってきました。2021年の改定で保険期間の上限が最長5年に短縮されたことも、家計への影響を大きくしています。かつて10年契約を結んでいた方が満期を迎えると、その間に積み上がった複数回の改定が一度に反映されるためです。
値上げの背景には何がありますか
損害保険料率算出機構が公表した2023年6月の改定資料は、引上げの背景を2つ挙げています。
1つは、自然災害などによる保険金支払いの増加とリスク環境の変化です。資料では住宅の老朽化の進展として、築10年以上の住宅の割合が増えることで、台風・大雪などによる損壊リスク、電気や給排水設備の老朽化による火災リスク・水濡れリスクが高まる傾向が指摘されています。加えて、建設工事における資材費や労務費などの指標である国土交通省の建設工事費デフレーターが上昇傾向を示しており、修理費そのものが高騰しています。さらに、甚大な被害を及ぼす強い台風の増加や接近頻度の変化について気候変動の影響が示されていることを受け、リスク評価の手法自体を近年の台風データを重視する形へ見直したと説明されています。
もう1つが、水災料率における契約者間の保険料負担の公平化です。ここには、保険料を下げようとする読者にとって重要な指摘が含まれています。
資料は、地域の洪水ハザードマップ等の水災リスク情報が拡充される一方で、保険契約者が自分のリスクは低いと判断し、保険料節約の目的で火災保険から水災補償を外す傾向がみられると述べています。そのうえで、この傾向が続くと適正な料率水準を確保するために更なる水災料率の引上げが必要になり、水災補償を付帯できなくなる契約者が増えることで社会全体に対する補償機能が損なわれる懸念があるとしています。水災を外す判断が個人の節約にとどまらず、水災料率そのものを押し上げる方向に働くという構図です。この状況と、金融庁の「火災保険水災料率に関する有識者懇談会」における議論を踏まえて、全国一律だった水災料率が細分化されました。
改定の詳細は損害保険料率算出機構「火災保険参考純率改定のご案内」(2023年6月21日届出)で、参考純率の仕組みそのものは同機構の火災保険参考純率のページで公開されています。保険期間の上限短縮を含む前回の改定は2021年5月届出の改定のご案内にまとまっています。
補償を減らすと保険料はどのくらい下がりますか?
下がり幅は建物の構造・所在地・補償内容によって変わるため、一律の目安はありません。 火災保険の保険料は、補償する災害の種類、保険金額、免責金額、建物の構造、所在地の組み合わせで決まります。このうち契約者が動かせるのは前の3つで、構造と所在地は建物の条件そのものなので変えられません。
まず押さえておきたいのが、動かせない部分の仕組みです。日本損害保険協会の解説によると、建物の構造によって燃えやすさなどのリスクが異なるため、火災保険では構造級別という区分が設けられています。住宅物件ではM構造・T構造・H構造の3区分で、コンクリート造の共同住宅などがM構造、コンクリート造の戸建住宅(耐火建築物)や鉄骨造の戸建住宅(準耐火建築物)、省令準耐火建物に該当するツーバイフォー住宅などがT構造、木造の共同住宅や戸建住宅などがH構造です。M構造からH構造へ向かうほど保険料は高くなります。
ここで確認しておきたいのは、自宅の構造級別が正しく判定されているかです。木造建物であっても、建築基準法に定める耐火建築物等に該当すればM構造やT構造になります。省令準耐火建物については設計仕様書や施工者・メーカーによる証明書類などで確認でき、耐火建築物・準耐火建築物については建築確認申請書類などで確認できます。契約時に書類を出していなければ、実際より不利な区分のまま保険料を払っている可能性が残ります。
外す候補になりやすい補償
そのうえで、補償範囲の絞り込みに入ります。火災保険が補償するのは、火災・落雷・破裂・爆発といった基本的な事故に加え、風災・雪災・水災などの自然災害、盗難、水濡れ、建物への飛び込みなど幅広い範囲です。すべてを付けるか、必要なものだけを選ぶかは商品によって異なります。
外す候補になりやすいのは次のような補償です。
- 水災:削減効果が最も大きい一方、判断を誤ったときの損害も最も大きい補償です。次のセクションで単独で扱います。
- 破損・汚損:家具を運んでいて壁に穴を開けた、といった不測かつ突発的な事故を補償します。免責金額が設定されていることが多く、日常の小さな損害を自己負担にする前提なら外す判断が成り立ちます。
- 盗難:オートロックや防犯設備の状況によって必要性が変わります。
- 重複している特約:個人賠償責任特約が代表例です。
重複している特約はありませんか
特約の重複は、補償を減らさずに保険料だけを下げられる数少ない手段です。 個人賠償責任特約は火災保険だけでなく、自動車保険や傷害保険にも付帯でき、契約者本人だけでなく同居の家族も補償対象になります。世帯で複数の契約を持っていると重複しやすい特約です。
建物そのものについても、重複には注意が必要です。日本損害保険協会は、すでに火災保険を付けている建物に別の火災保険を契約する場合、両方の保険金額の合計が建物の保険価額を超えないようにする必要があると説明しています。火災保険は実際の損害額に対して保険金を支払う保険であり、損害額を超える保険金を受け取るような不当利得は認められていないためです。他の火災保険契約は告知義務の対象になるため、新たに契約する保険会社には既存契約を知らせる必要があります。
保険法第20条は、同じ損害を補償する契約が複数ある場合でも、各保険者はてん補損害額の全額について保険給付を行う義務を負うと定めています。1社に請求すればその契約の保険金は全額支払われ、支払った保険会社が他社に分担額を請求する仕組みです。二重に払っても受け取れる保険金が二倍になるわけではないという点は、重複を外す判断の前提になります。
ただし、外す前に残す側の契約が本当に同じ範囲をカバーしているかを確認してください。名称が同じでも補償の対象や範囲が契約ごとに異なることがあります。重複だと思って外した結果、どちらにも該当しない範囲が生まれると、削った意味がなくなります。
構造級別の判定方法は日本損害保険協会の解説(火災保険の構造級別)で、重複契約の扱いは同協会の解説(複数の火災保険を契約する場合の注意点)で確認できます。
水災補償を外しても大丈夫ですか?
水災補償を外してよいかは、自宅の所在地と建物の形態で判断します。安易に外す前に、ハザードマップと水災等地の2つを必ず確認してください。 水災は削減効果が大きい代わりに、外したときに一切の保険金が出なくなる補償です。
まず押さえておきたいのは、水災が補償する範囲の広さです。水災補償は川の氾濫による洪水だけでなく、台風や豪雨による土砂崩れ、落石、高潮、都市部で下水が溢れる内水氾濫も対象に含みます。近くに川がないという理由だけでは、外す判断の根拠になりません。
2023年の改定で、水災料率は市区町村ごとに5区分になりました
従来、水災に関する料率は全国一律でした。2023年6月の参考純率改定で、これが保険の対象となる建物の所在する市区町村別に細分化されています。区分は保険料が最も安い1等地から最も高い5等地までの5段階で、保険料が最も高い地域と最も低い地域の較差は約1.2倍です(火災・風災・雪災・水災など補償危険の合計での数値)。
この細分化がどれだけ効くかは、同機構が公表した改定率の例から読み取れます。保険金額を建物2,000万円・家財1,000万円、築10年以上とした場合の都道府県別の改定率です。
木造等が該当するH構造の東京都では、水準の改定のみを行った場合の改定率が+6.3%であるのに対し、水災料率を細分化した後は1等地で▲1.3%から5等地で+19.0%まで開きます。全国平均13.0%の引上げという改定のなかでも、水災等地が1等地にあたる木造住宅では保険料が下がる契約条件が存在するということです。同じH構造でも大阪府は+11.4%から+27.1%、愛知県は+1.9%から+20.6%の範囲でした。
なお、これらは各県の平均の改定率です。水災料率は市区町村単位に細分化されているため、同一の都道府県であっても市区町村により改定率は異なります。自宅がどの等地にあたるかは損害保険料率算出機構の水災等地検索システムで確認できます。水災を外すかどうかを考える前に、まず自分の住所が何等地かを調べる——この一手間が、判断の質を大きく変えます。
外す判断の前に確認する3点
- ハザードマップの浸水想定と土砂災害警戒区域:ハザードマップポータルサイトで、自宅が浸水想定区域や土砂災害警戒区域に含まれていないかを確認します。自治体が公表するハザードマップは更新されるため、契約時に確認した内容が今も同じとは限りません。
- 建物の形態と階層:マンションの高層階は洪水や浸水のリスクが低くなります。一方、戸建て住宅は地面からの距離が近く、ゲリラ豪雨で下水が溢れる内水氾濫の影響を受けやすい形態です。
- 水災等地:前述の検索システムで確認します。5等地に該当する地域は、水災リスクが高いと評価されている地域です。
この3つがそろって低リスクを示すなら、水災を外す判断には根拠があります。逆にどれか1つでも該当するなら、外したときに負う金額は自宅の再建費用そのものになります。金融庁の火災保険水災料率に関する有識者懇談会でも、この料率体系の見直しが議論されてきました。
免責金額を上げるとどうなりますか?
免責金額を上げると保険料は下がり、事故のときに自己負担する金額が増えます。 免責金額とは、損害が発生したときに契約者が自分で負担する金額として、あらかじめ契約で決めておく金額です。
火災保険の免責金額は、0円、1万円、3万円、5万円、10万円といった選択肢から選ぶ形が一般的です。免責金額を高く設定するほど保険会社が支払う保険金は減るため、その分だけ保険料が下がります。
ここで押さえておきたい点が2つあります。
- 補償の範囲そのものは狭まりません:免責金額を上げても、補償される災害の種類は変わりません。狭まるのは、保険金が支払われる損害額の下限だけです。この点で、水災や破損・汚損の補償を外すこととは性質が異なります。
- 補償ごとに免責金額を分けられる商品があります:風災・雪災には免責金額を設定し、火災には設定しないというように、補償ごとに設定を分けられる商品があります。発生頻度の高い損害にだけ自己負担を設定する使い方ができます。
免責金額をいくらに設定するかは、その金額を手元の資金からすぐに出せるかどうかで決めてください。10万円の免責金額を設定して保険料を下げても、実際に台風で屋根が壊れたときに10万円を用意できなければ、修理が遅れて損害が広がります。日常の小さな損害は自己負担と割り切れる範囲に収めることが前提です。
建物と家財の保険金額は下げてもいいですか?
保険金額は、実態より高すぎる場合には下げるべきで、適正額を下回るところまで下げるべきではありません。 火災保険の保険料は保険金額に比例するため、ここが最も直接的に保険料へ効く項目です。
日本損害保険協会の解説によると、火災保険の保険金額は契約時の評価額を基準として設定します。評価には再調達価額(新価)基準と時価額基準の2つがあり、再調達価額とは保険の対象と同等のものを現時点で再築または再購入するために必要な金額、時価額とは再調達価額から経年・使用による消耗分を差し引いた金額です。時価額を基準にすると保険金だけでは同じ建物を建て直せない可能性があるため、現在では再調達価額をベースに保険金額を設定する契約が一般的になっています。
建物の評価額を算出する方法は2つあります。新築した年と当時の建築価額が分かっていれば、そこに年次別指数(建築費倍率)を乗じる年次別指数法。分からない場合は、建物に使われている材料などで定められた1平方メートルあたりの新築費単価に延床面積を乗じる新築費単価法です。家財については所有している家財の金額を積算するのが基本ですが、より簡便な方法として、世帯主の年齢や家族構成などに応じて平均的な評価額を決める方法が用意されています。
この「世帯主の年齢や家族構成に応じた平均額」が、見直しの余地が最も残りやすい箇所です。 子どもが独立して家財の量が減っても、契約時に設定した家財の保険金額は自動では下がりません。同協会も、建物や家財は時間の経過とともに価値が変わるため、契約を更新する際など必要に応じて保険金額を見直すことが必要だと説明しています。
下げすぎたときに何が起こりますか
保険価額よりも保険金額を少なく設定した状態を一部保険、保険価額を超える保険金額を設定した状態を超過保険といいます。どちらの状態にも法律上の扱いが定められています。次の制度は、当サイトが独自に収集した保険・共済分野の規制動向データベースから、契約者の負担に直接関わるものを整理したものです。
【業界の現状と制度動向:火災保険の保険金額は保険法で規律されており、保険価額を超えていた部分は契約の始期に遡って取り消し、保険料の返還を請求できる】
争点:保険料を下げるために保険金額を引き下げてよいのか。逆に、実態より高い保険金額のまま保険料を払い続けていた場合、その分を取り戻せるのか。保険料は保険金額に比例するため、下げ幅の判断がそのまま家計の負担に直結する。あわせて、下げすぎた場合に受け取れる保険金がどう変わるのかも論点になる。
判断:日本損害保険協会の解説によると、保険価額よりも保険金額を少なく設定した場合を一部保険、保険価額を超える保険金額を設定した場合を超過保険という。保険法第19条は、保険金額が保険価額に満たないときの保険給付の額を、保険金額の保険価額に対する割合をてん補損害額に乗じて得た額とすると定める(任意規定)。ただし現在販売されている商品は、再調達価額ベースで実損払方式とする契約が主流である。超過保険については、保険法第9条が、契約締結の時において保険金額が保険の目的物の価額を超えていたことにつき保険契約者および被保険者が善意でかつ重大な過失がなかったときは、保険契約者はその超過部分について契約を取り消すことができると定めている(本文は片面的強行規定、ただし書きは任意規定)。この場合、保険契約者は超過部分をその契約の始期に遡って取り消し、保険料の返還を請求することができる。さらに保険法第10条は、契約締結後に保険価額が著しく減少したときは、保険契約者が保険者に対し、将来に向かって、保険金額については減少後の保険価額に至るまでの減額を、保険料についてはその減額後の保険金額に対応する保険料に至るまでの減額を、それぞれ請求できると定める(片面的強行規定)。家族構成が変わって家財の状況が大きく変わり、家財全体の保険価額が著しく減少した場合が、これにあたる。減額した際は、その事由が発生した日を基準として、未経過部分に対する保険料が保険会社の定める計算方法に基づき返還される。
読者への教訓:保険金額を下げることは、契約者に法律上認められた権利です。とくに家財は、子どもの独立や住み替えで実態が変わりやすいので、更新のたびに見直す価値があります。契約時から金額を一度も動かしていない方は、いまの家財の量と照らし合わせてみてください。一方で、下げてよいのは超過している部分までです。建物の評価額を下回るところまで下げてしまうと、全焼したときに建て直せる保険金が受け取れません。保険料を下げる作業では、この線引きを保険会社か複数社を扱う窓口に確認してから手続きしてくださいね。
出典:損害保険Q&A 問56 火災保険では、保険価額よりも保険金額を少なく(または多く)設定した場合に、何か問題はありますか。(日本損害保険協会「そんぽ相談ガイド」2025年3月改訂/根拠法令は保険法 平成20年法律第56号 第9条・第10条・第19条)
保険金額を下げられない事情があるケースもあります。日本損害保険協会によると、住宅ローンを利用している場合、金融機関が債権を保全する目的で火災保険の契約を求め、保険金請求権に質権を設定することがあります。質権が設定された建物に損害が発生すると、契約者ではなく質権者である金融機関に対して優先的に保険金が支払われます(債権額が限度)。この場合でも、保険金額をローン残高に合わせるのではなく、建物の評価額いっぱいに設定することが重要です。 借入残高が建物の評価額より低いと、支払われる保険金が評価額を下回り、ローンは返せても建物を建て直せない状態になるためです。
保険金額の設定方法は日本損害保険協会の解説(火災保険の保険金額の設定)で、住宅ローンとの関係は同協会の解説(住宅ローンと火災保険の関係)で確認できます。
契約期間や払い方を変えると安くなりますか?
契約期間を長くして保険料を一括で払うほど、1年あたりの負担は小さくなります。ただし選べる上限は最長5年です。 長期契約には長期係数と呼ばれる割引が適用され、1年契約を毎年更新する場合より総額を抑えられます。
かつて火災保険は最長10年、さらに以前は最長36年の契約が可能でした。この上限が短縮された経緯は、損害保険料率算出機構の2021年5月届出の改定資料に記載があります。自然災害のリスクは将来にわたり大きく変化していくと見込まれており、長期的なリスク評価が難しくなっているため、火災保険の参考純率が適用できる期間を現行の最長10年から最長5年とする、というものです。
この短縮は、契約者にとって2つの意味を持ちます。
- 1回の契約でロックできる保険料の期間が短くなりました:以前は10年間、改定の影響を受けずに済みましたが、いまは最長5年です。5年ごとに、その間に行われた改定が反映されます。
- それでも、いま選べる最長は5年です:値上げが続く局面では、契約時点の保険料水準を5年間維持できること自体に価値があります。1年契約で毎年更新すると、改定のたびに保険料が上がります。
払込方法についても、年払いより一括払いのほうが総額は下がります。ただし5年分をまとめて支払うため、最初に出ていく金額は大きくなります。契約期間の途中で解約した場合は未経過分の保険料が返還されますが、返還額は日割りではなく、保険会社の定める計算方法によって算出されます。
住み替えや建て替えの予定がある方は、この点を踏まえて期間を選んでください。5年一括払いは「保険料を下げる手段」であると同時に「手元資金を先に出す判断」でもあるという前提で比べると、選びやすくなります。
使える割引が残っていませんか?
火災保険と地震保険には、建物の築年数や耐震性能に応じた割引があります。該当していても、確認資料を提出していなければ適用されません。 補償を一切減らさずに保険料を下げられるため、最初に確認すべき項目です。
築浅住宅への割引
損害保険料率算出機構は2019年10月の参考純率改定で、築年数が浅い住宅を対象とした割引を導入しました。住宅総合保険が補償する損害のうち水濡れ損害などは建物の老朽化による影響を受けるため、築浅住宅のほうが築年数が経過した住宅よりリスクが低い実態にあるという理由です。
参考純率における割引率は、築5年未満で平均28%、築5年以上10年未満で平均20%(いずれも建物のみが対象)でした。割引率は契約条件(都道府県・構造等)によって異なります。
この割引がどれだけ効くかは、同じ改定資料の改定率の例から読み取れます。全国平均4.9%の引上げという改定でありながら、築5年未満の契約では三大都市圏の主要都府県がいずれも引下げになりました。M構造の東京都は▲18.1%、愛知県は▲17.6%、大阪府は▲13.1%です。一方、割引が適用されない築10年以上の契約では、同じM構造の東京都が+6.3%、大阪府が+14.1%、愛知県が+9.2%でした。同じ改定のなかで、築年数だけで20ポイント以上の差がついたことになります。
なお、参考純率の割引率と各保険会社の商品に設定される割引率は一致しません。すでに契約中の商品に築浅割引が適用されている場合もあります。新築や築浅の住宅を購入した方、また築5年・築10年の節目を迎える方は、いま適用されている割引を保険会社に確認してください。
地震保険の4つの割引
地震保険には、住宅の免震・耐震性能に応じた4つの割引制度があります。日本損害保険協会によると、いずれかの要件に該当する場合は保険料に10%から50%の割引が適用されます。ただし重複して適用を受けることはできず、所定の確認資料の提出が必要です。割引は確認資料の提出があった日以降の保険期間について適用されます。
| 割引名 | 割引率 | 対象となる住宅 | 主な確認資料 |
|---|---|---|---|
| 免震建築物割引 | 50% | 住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づく免震建築物 | 住宅性能評価書の写し、技術的審査適合証の写し など |
| 耐震等級割引 | 等級3は50%/等級2は30%/等級1は10% | 同法または国土交通省の評価指針に定める耐震等級を有する住宅 | 住宅性能評価書の写し、耐震性能評価書の写し など |
| 耐震診断割引 | 10% | 地方公共団体等の耐震診断または耐震改修の結果、1981年6月1日施行の改正建築基準法の耐震基準を満たす住宅 | 耐震基準適合証明書の写し、住宅耐震改修証明書の写し など |
| 建築年割引 | 10% | 1981年6月1日以降に新築された建物 | 建物登記簿謄本の写し、建築確認書の写し、重要事項説明書の写し など |
出典:日本損害保険協会「損害保険Q&A」地震保険の保険料の割引制度に基づき編集部が整理。薄い青の行は割引率が50%に達する制度です。重複して適用を受けることはできません。
注目したいのは建築年割引です。1981年6月1日以降に新築された建物であれば適用され、確認資料も建物登記簿謄本の写しや重要事項説明書の写しといった、住宅購入時に受け取っている書類で足ります。1981年6月以降の建物にお住まいで、地震保険料に割引の記載がない方は、確認する価値があります。
長期優良住宅の認定を受けている住宅は、認定通知書などの認定書類と設計内容説明書などの書類で、免震建築物割引または耐震等級割引の要件を確認できる場合があります。認定を受けた記憶がある方は、購入時の書類一式を確認してみてください。
安くする手段を並べると、どれから手をつけるべきですか?
効果が確実で、引き換えに失うものが小さい順に並べると、割引の適用漏れの確認・保険金額の適正化・重複特約の解約が先に来ます。 補償範囲の絞り込みや免責金額の調整は効果が大きい一方で、事故のときの自己負担が確実に増えます。
| 手段 | 保険料への効き方 | 着手のしやすさ | 引き換えに失うもの |
|---|---|---|---|
| 使える割引の適用漏れを確認する | 該当すれば確実に下がる。地震保険は最大50% | 確認資料を用意して申し出る | なし。書類の取り寄せに手間がかかる |
| 建物・家財の保険金額を適正額に直す | 保険金額に比例して下がる | 契約期間の途中でも減額を請求できる | なし。ただし適正額を下回ると建て直せない |
| 重複している補償・特約を外す | 特約保険料の分だけ下がる | 世帯の他の契約を確認する手間がかかる | なし。ただし重複の判断を誤ると補償の空白が生まれる |
| 免責金額を上げる | 自己負担額を上げるほど下がる | 更新のタイミングで設定する | 事故時に免責金額まで自己負担する |
| 補償範囲を絞る | 削減幅は大きい。水災は等地により差がある | 更新または契約変更のタイミングで判断する | 外した災害による損害は補償されない |
| 契約期間を最長5年にして一括払いにする | 長期分の割引で総額が下がる | 更新のタイミングで選ぶ | まとまった支出が一度に発生する |
| 同一条件で複数社の見積もりをそろえる | 各社の割引と付加保険料率の差が出る | 満期の1か月から2か月前に動き出す | 見積もりを取る手間。乗り換えると担当者が変わる |
薄い青の行は、補償の範囲を実質的に狭めずに保険料を下げられる手段です。下がり幅は契約条件・建物の構造・所在地によって異なるため、実際の金額は契約先または相談窓口でご確認ください。
順番としては、薄い青の3つを先に片づけてから、免責金額と補償範囲の判断に進んでください。この順序にすると、補償を減らさずに済む余地を使い切ったうえで、外すかどうかの判断に入れます。
なお、複数社の見積もりを比べるときは同一条件でそろえることが前提です。建物の保険金額、家財の有無と金額、補償範囲、免責金額、契約期間のいずれかが違うだけで、保険料は簡単に変わります。安く見える見積もりが、実は水災を外しただけ、というケースは珍しくありません。
地震保険は外してもいいですか?
外してはいけないのは、地震保険と、自宅の水災等地が高い場合の水災補償です。 どちらも、失われる金額を自分では決められない損害に備えるためのものだからです。
地震保険は、地震・噴火またはこれらによる津波を原因とする火災・損壊・埋没・流失による被害を補償します。財務省が明示しているとおり、火災保険では、地震を原因とする火災による損害や、地震により延焼・拡大した損害は補償されません。 地震で倒れたストーブから出火して自宅が全焼しても、火災保険からは保険金が出ないということです。この一点が、地震保険を外す判断の重さを決めています。
地震保険は火災保険に付帯する方式で契約するため、火災保険への加入が前提になります。保険金額は火災保険の保険金額の30%から50%の範囲内で設定し、建物は5,000万円、家財は1,000万円が限度です。すでに火災保険を契約している方は、契約期間の中途からでも地震保険に加入できます。
保険料の負担が重いという理由で外す前に、前のセクションで扱った4つの割引が適用されているかを確認してください。免震建築物割引や耐震等級3の割引は50%で、外すのと近い水準まで負担を下げられます。
大地震が起きたとき、契約どおりに支払われますか
地震保険を検討するときに読者が気にする点がもう1つあります。巨額の損害が発生したときに、本当に約束どおり保険金が支払われるのかという疑問です。ここには法律と国の制度による裏づけがあります。
【依頼前の確認事項:地震保険は政府が再保険する官民共同の制度で、1回の地震等による保険金の総支払限度額は12兆円と定められている】
争点:保険料を下げるために地震保険を外してよいか。そもそも関東大震災級の巨大地震が起きたとき、契約どおりに保険金が支払われるのか。支払いが削減される可能性があるのなら、保険料を払い続ける意味をどう評価するかが論点になる。
判断:地震保険に関する法律第3条は、政府が地震保険契約によって保険会社等が負う保険責任を再保険する契約を締結できると定めている。同法第4条は、政府の再保険契約に係るすべての地震保険契約によって支払われるべき保険金の総額が、保険会社等のすべてが負担することとなる金額と政府の負担限度額との合計額を超えることとなる場合には、保険会社等は政令で定めることにより保険金を削減できると定める。財務省によると、1回の地震等により政府が支払うべき再保険金の総額は毎年度国会の議決を経た金額を超えない範囲とされ、現在その金額は11兆5,553億円、民間保険責任額と合計した1回の地震等による保険金の総支払限度額は12兆円である。総支払限度額は、関東大震災クラスの地震と同等規模の巨大地震が発生した場合においても対応可能な範囲として決定されており、過去に阪神・淡路大震災や東日本大震災などの巨大地震が発生した際にも、保険金の支払額は総支払限度額の範囲内で、円滑に保険金が支払われている。なお72時間以内に発生した2つ以上の地震等は1回の地震等とみなされる(被災地域がまったく重複しない場合を除く)。削減するかしないかの判断は、地震発生後に必要に応じて財務省に設置される地震保険審査会での審議を参考に、財務大臣が告示することとされている。また地震保険は、政府と保険会社が共同で運営する公共性の高い保険であることから、付加保険料率に利潤を織り込んでいない。
読者への教訓:地震保険の保険料には、民間の保険にある利潤が含まれていません。純粋に補償のための費用と経費で構成されているので、割高だから外すという判断は成り立ちにくい設計です。支払いが削減される仕組みは法律に定められていますが、限度額は関東大震災級の地震を想定して決められており、過去の巨大地震ではいずれも限度額の範囲内で支払われてきました。保険料が重いと感じたら、外す前に免震建築物割引や耐震等級割引が使えないかを確認してみてください。それでも負担が残る場合は、火災保険の保険金額の30%から50%という設定幅のなかで、下限側に寄せる調整もできます。外すか続けるかの二択で考える必要はありませんよ。
出典:地震保険制度の概要(財務省/総支払限度額は2024年4月現在12兆円)、損害保険Q&A 問69(日本損害保険協会/根拠法令は地震保険に関する法律 昭和41年法律第73号 第3条・第4条)
外しすぎのリスクは、地震保険の分野だけではありません。水災等地が高い地域で水災補償を外すと、その地域で想定されている損害がそのまま自己負担になります。保険料を下げるために補償を絞ること自体は正しい手順ですが、絞る範囲は自宅の立地条件に一致させてください。
契約を触る前に、どこで確認すればいいですか?
下げられる項目と外してはいけない補償の線引きは、複数の保険会社を扱う窓口で契約内容を見てもらうのが確実です。 建物の評価額、家財の適正額、特約の重複は保険証券の記載だけでは判断しにくく、世帯の他の契約と突き合わせる作業が必要になります。
- ほけんの窓口:火災保険・地震保険の商品一覧に7社8商品を掲載し、補償内容を同じ場で比べられます。火災保険選びを補償対象・構造級別・補償範囲・保険金額・保険期間と払込方法・地震保険の6ステップに整理した解説も公開しています。来店型の最大手で、オンライン相談にも対応しています。
- 保険見直し本舗:ソニー損保の新ネット火災保険や楽天損保のホームアシストなどを取り扱い、いずれも保険期間は1年から5年です。楽天損保については水災リスクが低い地域の保険料とネット申込での保険料10%割引を掲載しています。店舗・訪問・電話・オンラインの4チャネルに対応し、1人の担当者が継続してサポートする体制です。
- 保険クリニック:火災保険の比較・一括見積りサイトを運営し、三井住友海上・損保ジャパン・あいおいニッセイ同和損保のプランをオールリスク・ベーシック・スリムの3段階で比較できます。地震保険の付帯も可能で、店舗相談とオンライン相談の両方に対応しています。
住まいの保険料を下げても家計の固定費が重いと感じる場合
火災保険で下げられる部分を下げ切っても負担感が残るときは、保険全体の固定費に視野を広げる方法があります。ほけんNaviせつやくん(株式会社フィナンシャル・エージェンシー運営)は、年齢と性別の入力だけで生命保険の節約額の目安が出る保険料節約シミュレーションを公開しており、そのまま全国のファイナンシャルプランナー(FP)による無料の訪問相談・オンライン相談へ進めます。火災保険は主力領域ではありませんが、家計全体の固定費を起点に見直したい場合の入口になります。
相談先そのものを比べたい場合は火災保険の見直しを相談できる窓口8社の比較で、乗り換え先の商品を選びたい場合は火災保険の商品比較で扱っています。自動車保険側の見直しは自動車保険の保険料を下げる7つの手順と自動車保険の見直しの相談先、ダイレクト型自動車保険の比較を、生命保険を含めた節約余地の試算は保険料の節約シミュレーションができるサービスの比較をあわせてご覧ください。
よくある質問(FAQ)
Q1:火災保険の保険料が高いのですが安くする方法はありますか?
使っていない割引を申請し、建物と家財の保険金額を実態に合わせ直すのが基本です。築年数や住宅の耐震性能に応じた割引は、該当していても確認資料を出していなければ適用されません。そのうえで重複特約の解約、免責金額の引き上げ、補償範囲の絞り込み、最長5年の一括払いへの変更を検討します。
Q2:火災保険料を下げる方法はありますか?
補償を減らさずに下げられる手段が3つあります。割引の適用漏れの確認、保険金額の適正化、重複している特約の解約です。保険法第10条は、契約後に保険価額が著しく減少したときに、保険契約者が将来に向かって保険金額と保険料の減額を請求できると定めています。子どもの独立などで家財の実態が変わった場合が該当します。
Q3:火災保険の補償を減らして保険料を下げられますか?
下げられます。火災保険の保険料は補償する災害の種類、保険金額、免責金額の組み合わせで決まるため、必要性の低い補償を外せばその分の保険料がなくなります。ただし外した災害による損害は一切補償されません。水災を外す場合は、ハザードマップと水災等地の両方を確認してから判断してください。
Q4:水災補償を外しても大丈夫ですか?
自宅の所在地と建物の形態によります。水災は洪水だけでなく土砂崩れ、落石、高潮、内水氾濫も対象に含むため、近くに川がないという理由だけでは根拠になりません。ハザードマップポータルサイトで浸水想定区域と土砂災害警戒区域を確認し、損害保険料率算出機構の水災等地検索システムで自宅が1等地から5等地のどれにあたるかを調べてください。
Q5:火災保険は何年契約にすると安くなりますか?
選べる上限である5年契約にして保険料を一括で払うと、1年あたりの負担が最も小さくなります。損害保険料率算出機構は2021年5月の参考純率改定で、参考純率を適用できる保険期間の上限を最長10年から最長5年へ短縮しました。自然災害のリスクが将来にわたり大きく変化していくと見込まれ、長期的なリスク評価が難しくなっていることが理由です。
Q6:地震保険は外してもいいですか?
おすすめしません。火災保険では、地震を原因とする火災による損害や、地震により延焼・拡大した損害は補償されないためです。地震保険は政府と保険会社が共同で運営する公共性の高い保険で、付加保険料率に利潤を織り込んでいません。保険料が重い場合は、免震建築物割引や耐震等級割引などの4つの割引が使えないかを先に確認してください。
Q7:火災保険はなぜ値上がりしているのですか?
保険料の基礎になる参考純率が短い間隔で引き上げられてきたためです。損害保険料率算出機構の届出は2018年5月が全国平均5.5%、2019年10月が4.9%、2021年5月が10.9%、2023年6月が13.0%の引上げでした。背景には自然災害による保険金支払いの増加に加え、住宅の老朽化の進展と、建設工事費デフレーターに表れる修理費の高騰があります。
Q8:火災保険が安くなる条件は何ですか?
建物の構造がM構造に該当すること、築年数が浅いこと、水災等地が低い地域にあること、地震保険の割引要件を満たすことです。損害保険料率算出機構は2019年10月の改定で、参考純率において築5年未満の建物に平均28%、築5年以上10年未満の建物に平均20%の割引を導入しました(いずれも建物のみが対象で、割引率は契約条件によって異なります)。
Q9:火災保険は値引き交渉できますか?
保険料そのものを交渉で下げることはできません。火災保険の保険料は、保険会社が算出した純保険料率と付加保険料率に基づいて決まるためです。下げられるのは契約条件のほうで、割引の適用、保険金額の適正化、免責金額の設定、補償範囲の選択、契約期間と払込方法の変更が対象になります。同一条件で複数社の見積もりを比べると、会社ごとの差が見えてきます。
Q10:賃貸の火災保険も安くできますか?
できます。賃貸住宅では建物の所有者が別にいるため、契約するのは家財の補償と、借用戸室を元どおりにして返す義務に備える借家人賠償責任補償が中心です。家財の保険金額が世帯の実態より高く設定されていないかを確認してください。あわせて、個人賠償責任特約が自動車保険や他の契約と重複していないかも確認する価値があります。
まとめ
火災保険の保険料は、使っていない割引を申請し、建物と家財の保険金額を実態に合わせ直すことで下げられます。地震保険には免震建築物割引50%、耐震等級3の割引50%、耐震診断割引10%、建築年割引10%の4つがあり、該当していても確認資料を出していなければ適用されません。保険金額については保険法第10条が、契約後に保険価額が著しく減少したときの減額請求権を保険契約者に認めています。契約時から一度も金額を動かしていない方は、いまの家財の量と照らし合わせてみてください。
制度の側でも動きが続いています。損害保険料率算出機構の参考純率は2018年5月に5.5%、2019年10月に4.9%、2021年5月に10.9%、2023年6月に13.0%と引き上げられてきました。2021年の改定で保険期間の上限が最長10年から最長5年へ短縮されたため、いま選べる最長は5年です。2023年の改定では水災料率が市区町村別の5区分に細分化され、水災等地によっては木造住宅で保険料が下がる契約条件も生まれました。自宅の等地は公式の検索システムで調べられます。
ただし、外してよいのは自宅のリスクに照らして必要性の低い補償であって、地震への備えではありません。火災保険では地震を原因とする火災の損害は補償されず、地震保険は政府が再保険する官民共同の制度として利潤を織り込まずに運営されています。契約内容を複数社と並べて確認したいなら火災保険・地震保険を7社8商品掲載するほけんの窓口、ダイレクト型を含めて4チャネルで相談したいなら保険見直し本舗、一括見積りから始めたいなら保険クリニックが入口になります。家計全体の固定費まで含めて見直したい場合はほけんNaviせつやくん(株式会社フィナンシャル・エージェンシー運営)の保険料節約シミュレーションも使えます。保険料を下げる作業は、補償を捨てる作業ではなく、実態と合わなくなった契約条件を現在に合わせ直す作業だと考えると判断を誤りにくくなりますよ。
更新履歴
- 2026年8月17日:初版公開

